前作『モーメント』から３年、新しいアルバム『インマネント』がようやく完成しました。
このアルバムの制作を始めたのは2017年の1月です。自宅で録音した即興演奏をもとに曲を作って行き、アルバムを作れるくらいの曲数が揃った7月に、録音するスタジオを探しました。
ところが録音の準備を進めて行くうちに、どんどん趣向の違った曲が出来上がって、結局アルバムの半分くらいの曲が8月以降にできた曲になりました。
最初にスタジオで録音を行ったのが2017年10月、最後の録音は2018年9月に行いました。それから編集・ミックスを行い、マスタリングが終了したのは2019年1月です。今までになく制作に時間を費やしたアルバムとなりました。
タイトルの「インマネント（immanent）」という言葉は、「内在的」「主観的」という哲学的な意味を持っています。今回のアルバムに収録された曲は、リズムをすぐに判別するのが難しかったり、音の数が少なかったり、故意に音をズラしたり、いろいろと工夫を凝らした曲が多いのですが、アルバムを聴く人が、実際には鳴っていない音を自由にイメージしたり、どの音にポイントを置くかによって聴こえ方やリズムが違って聴こえたりするように出来上がっています。いま自分が聴いているものは、聴いている自分が「内在的」に、「主観的」に作ったものであると言えるかもしれません。
今回のアルバムは、「聴く」という行為が、とても能動的で創造的なものだということを実感できる内容になっています。
良いアルバムを作りたい、という思いから、今回は完成までに４度レコーディングを行いました。使用した楽器もスタインウェイとベーゼンドルファーのグランドピアノ、フェンダー・ローズ（エレクトリックピアノ）、そして鍵盤ハーモニカと今までになくバラエティに富んだものになりました。
そして、ノルウェー・オスロにあるレインボー・スタジオのエンジニアであるMartin Abrahamsen氏にマスタリングを依頼したことと、同じくノルウェーの ”音響プロデューサー” として知られているAsle Karstad氏に数曲録音していただいたことも、このアルバムのクオリティを格段に高めてくれました。
アルバム制作の最初の段階から、いろいろな方々にアイデアをいただいたり手伝っていただいたりして作り上げることができました。全ての人に心から感謝しています。
松竹大介
CD発売日：2019年1月27日
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〈収録曲〉
1. verlorenen zeit
2. pas de deux
3. wild sea
4. phase
5. cloud
6. calm
7. echo
8. we will do it again
9. dites oui
10. licht
composed and performed by daisuke matsutake